2012/01/29

2011年9月号のWマガジン、Steven Kleinの写真がヤバい。

2011年9月号のWマガジンに掲載されたスティーブン・クライン(Steven Klein)撮影の『ONE FOR THE AGES』というファッションストーリーがキワモノ過ぎてかなり衝撃。スーパーモデルのアンバー・バレッタ(Amber Valletta)を起用し、20ページ10カット展開の構成で、アンバーがハイブランドを着て豪華で陰湿な部屋でのポージングなんですが、ページをめくるごととに10歳くらいつづ老けていって最後は100歳以上の老婆に変身!特殊メイク、モデルの表現力、スティーブン・クラインの構成力&ライティングともに、ここ最近ではかなりの傑作。


1974 年2月9日生まれのでアンバー・バレッタは、来月38歳という息の長いアラフォーモデルなんですけど、その表現力と言ったら女優をかじっているだけあって、10代のお肌ピチピチモデルには出せない雰囲気や、本人がもともと持っているクラシカルな普遍美などか噛み合って大変美しい。最初のカットはおそらく20代の女性を表現し、着用服はシャネルのジャンプスーツ。チャームポイントの広いおでこをプードルウェーブのウィッグ着用でデカタンス漂う女性に。

ヨーロピアンクラシックなお部屋で一人椅子にもたれてメイクをするアンバーは、やや老けておそらく30代を表現。MIU MIUの2011年秋冬の広告でも使われていたゴールドの鳩が飛びまくるクラシックなドレスを着用。妊娠していながらもオシャレと化粧を怠らないファションアディクトを表現。髪の毛はおそらく地毛を巻いていて、眉毛はしっかりブラックで描き、まるで80年代のマドンナの様な顔にも見える。

彼氏なのかボディーガードなのか設定は良くわかりませんが、スティーブン・クラインお得意の奇妙な男女関係を盛り込みさらにエイジングの進んだアンバーが、まるでシャロン・ストーンの『氷の微笑』モードで睨み顔。衣装はドルチェ&ガッパーなお得意のボディースーツ風のランジェリー。口回り、特殊メイクで垂れ下げているのか本人の表情の演技なのかはわからなけど、40代くらいの女性にみえてくる。

2011年のルックの中でもわりと人気のあったグッチのコーディネートを着用したアンバーは、50歳代になったのか足元が弛み調で倒れ込み介護待ち。40代を演じた時の強さとは打って変わって弱みを見せた女性像。エイジングはかなり深刻になり、しみシワはかなり増え出し外人特有の乾燥感もみなぎる肌の質感。ただ本来はグッチってこういう年代の人が着ると似合うブランドのような気もするので、コーディネート的にはお似合いで、こういうマダムを実際見てみたい気持ち。男子の胸元がはだけているのはスティーブン・クライン本人の趣味だと思われます。



だいぶお年を召して来たアンバーは、二枚目の妊婦写真とほぼ同じヘアースタイルにも関わらず、さらにエイジングをかさね60代な熟女マダムに変化。ジョン・ガリアーノのサテン地と繊細なレースがからみあったミント色のガウン調ドレスに身を包みポージング。目もとがすでに凹み過ぎてヤバいのですが、左手側の酸素ボンベも意味深でファッションと老化の戦いを表現か?と思ってみる。シミシワが先ほどの50歳代よりもなくなっているのは、ファンデを厚塗りにしたのかレーザーを当てて除去したのか?整形をしたかのような目もとの突っ張り感を感じられるのも興味深い。部屋のライトの反射面にメンズモデルを写し込むあたり、さすがスティーブン・クライン。

プラダの60年代をモチーフにしたこんな可愛いシークインコートを70歳代に変身したアンバーが着用しちょこんと座ってビデオにカメラ目線。本当にアンバーはクラシックな巻き髪が似合うモデルなんだけど、お顔がだいぶ老けると凄みというか、妖怪度が上がって凄まじい。整形手術はあきらめたのか、目もとはタルタルに落ちまくり、先ほどの60歳風なアンバーよりはちょっと可愛いお婆ちゃん像に。


『あたくしの顔を見ないでちょうだい!』とばかりに、ヤング男子の目を押さえて哀しげな表情をしているアンバーは、おそらく80歳くらいの設定。エイジングの進行は凄まじく、おでこのブラピジワはマックスになり、アゴの梅干しジワも今までにないテクスチャーで、特殊メイクさん頑張り系。髪型もサッチャー首相系の前髪立ち上がり入れて、スーパーマダム。サルバトーレ・フェラガモの服の上質感はリュクスの極地。


90歳代になったアンバーはピンヒールを頑張って履きつつも、もう姿勢が持ちこたえきれず安定してない感じ。この年齢でトム・フォードの真っ赤なベルベットスーツを着せるあたり、スタイリストの遊び心を感じます。すでにお顔はアンバーではなくなってしまって、目もとなんかはゾンビ映画のようになっています。年とってもメンズは一定の若い子を仕入れるマダムの設定なのか、配置されてるメンズモデルはエイジングは進んでいません。。。


100歳くらいの特殊メイクをされたアンバーは、若い子の頬をさすって昔を思い起こすシーンを演じてるよう。『お金があって最新ファッションに身を包んでても、なんか淋しいのよね〜、人生つまらなかったわ』的な。男子モデルはもはや性別もわからなくなったアンバーの顔が怖くて見る事が出来ずにうつむき調。。。ここにきてまさかのジバンシーの男前ジャケットが、とってもファンキー。特殊メイクはマットな乾いた質感といい素晴らしいのですが、白髪のぱさついた質感も見事!指のシワ感や色むらの表現も、かなり完成度が高いです。

そして最後のページは真っ黒いアレキサンダー・マックイーンのボンテージとも思えるコルセットドレスで死後を考える生物に。後ろの男子が赤ちゃんを抱っこしていますが、孫の下の玄孫なのかというくらい、もうこの世とあの世が混在した不思議なシチュエーション。ファッション雑誌のストーリーなのに、見終わった時には『ファッションって生きてく上で、そんなになくてもいいのかなー?』とさえ思ってしまう脅威の写真でした。

アンバーお疲れさま。

Photographer_Steven Klein
Fashion Editor/Stylist_Edward Enninful
Hair Stylist_Luigi Murenu
Makeup Artist_Lucia Pieroni
Set Designer_Jack Flanagan
Manicurist_Yuna Park
Model_Amber Valletta/Braian Shimansky/Matthew Coatsworth

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