2012/01/26

アニー・リーボビッツによるルイヴィトン・コアヴァリューシリーズビジュアル

写真家アニー・リーボビッツAnnie Leibovitzがとらえるルイヴィトンのコアヴァリューシリーズの広告が毎度完成度が高く惚れ惚れ。地球温暖化プロジェクトに賛同した俳優やスポーツ選手、ミュージシャンなどの著名人がぞろぞろ出て来るわけで、キャスティングももちろん素晴らしいのですが、一見ナチュラルに見えるその写真達は、実は猛烈に計算されていて完成度の高さに驚かされます。ルイヴィトンの真髄である『旅』をフィーチャーしたグローバル広告。ライティング、表情、構図、トーンのマッチングが素晴らしく、絵画的でもあり、さすがの底力みなぎるキャンペーンに驚愕です。


  • ゴルバチョフ元大統領 
アニー・リーボビッツお得意の、シャドウ部にシアン(青緑)がかかったトーンで、リムジンに乗ったゴルビーさんを激写。チャームポイントの頭のシミがあまり見えないのが残念ですが、ベルリンの壁をちょっと不安げに見つめる眼差しが哀愁漂ってて素敵調です。


  • キース・リチャーズ
アニー・リーボヴィッツの長年の友人であるキース・リチャーズをキャスティングした、広告と言うよりはポートレートに近い素敵な一枚。メイキング画像を見ると本当にたくさんのポージングをさせられているんだけど、2人のコンビネーションが素晴らしいのか、まったく緊張していない空間作りもさすが、まるで子犬を扱うように撮影するアニーのカメラマンとしての凄みを垣間みました。メイキングだとライトが写り込んでいたのに綺麗に消されていて、あった事さえ感じさせないナチュラルな仕上がりにも感動。これ以上写真を暗めに仕上げると、キースの顔が絶対ゾンビに見えて来そうで、ギリギリで最高の仕上がり。


  • カトリーヌ・ドヌーブ
フランス国宝級大女優のドヌーブ様は、列車の蒸気が渦巻く中、素人だったら逃げまくる状況でもエレガント命でご自分のスネをさすり中。(足がかゆい?)昔からドヌーブ様は毛量が多い人だと思っていましたが、60歳をとうに過ぎているにもかかわらず、しっかりした髪質に尊敬の眼差し。もちろんお顔周り、ウェスト周りは画像修正が入っていると思われますが、その気品たるやそんじょそこいらの女優では出せない貫禄です。映画用のライトが横に置かれているので、何かの映画を撮影している設定なんでしょうか?ヴィトンの高級トランクさえも、ドヌーブの前では椅子同然でケツの下。


  • ショーン・コネリー
往年のハリウッド俳優コネリー様は、初代007でお馴染みの現在81歳の名俳優。スラックスをずぶぬれにされての激写でややお疲れ顔ながらも、綺麗な誰もいないビーチで貫禄ポージング。メイキングではやはりかなりのカットを撮っていたようですが、結局出回った一枚はこの背もたれ付きのショットで、『介護年齢が来てもヴィトンでおしゃれ!』をアピールしててナイス。ご老体に上質なタートルネックってコーディネートもかなり品格を上げているように思います。


  • フランシス・コッポラ&ソフィア・コッポラ親子
コッポラ監督と娘のソフィアのツーショットは、仲つつましい感じがとても良く、でも巨匠であるコッポラ監督が何かを娘に語りかけている様子が普通の親子とは違った演出で知性を感じます。もともとデザイナーのマーク・ジェイコブスと友人関係であるソフィア・コッポラは、良くマークの服を公式の場でも着る事が多いので、このキャスティングはなるべくしてなったと言う感じ。こんなに自然に美しく演出されていますが、メイキング動画では夕日ではなく結構明るめの昼間に撮影をしてて、ライティングをして撮っておいて背景は別のものを合成して入れ替えていると思われます。水色のシャツを着たコッポラ監督のでっぷり感がドラえもんに見えないのは、アニー・リーボビッツの力量って感じです。


  • バズ・オルドリン&ジム・ラヴェル&サリー・ライド
ぱっと見、誰かわからないキャスティングでむしろ興味心身だったのが、このアポロ11号が月に行ってから40年目を記念した伝説の宇宙飛行士をフィーチャーしたプロジェクト。今回、アニー・リーボヴィッツによるロケはカリフォルニアの砂漠で行われ、宇宙飛行士たちはトラックに乗り込み、かつて彼らが旅した星空を見つめて大変ロマンティックな仕上がり。
登場する宇宙飛行士たちは3人。アポロ11号の乗組員で、1969年に人類で2番目に月面を歩いたBuzz Aldrin(バズ・オルドリン)、宇宙での事故に遭いながら、見事地球に生還したアポロ13号を導いた船長Jim Lovell(ジム・ラヴェル)、スペースシャトル・チャレンジャー号で歴史上初めて宇宙に行ったアメリカ人女性のSally Ride(サリー・ライド)。もちろん月や雲の素晴らしい配置は合成によるものだと思いますが、若いモデルには出せない人としての魅力がぎゅぎゅっと詰まった夢の一枚。


  •  アンドレ・アガシ&シュテフィ・グラフ夫婦 
ホテルの一室で撮影されたスターテニスプレイヤー夫婦を激撮したダイナミックな構図の一枚。なかなか普通だとやらない構図配置で人物とカバンを見せていて、これも力量のあるカメラマンでないと上手くまとめる事が出来ない気がします。最初は照れていたアガシも撮影が進むごとにモニターを見る目は真剣になり、撮影をこなしていました。信頼しきって旦那に寄り添うグラフのお顔は、メイクの魔術師ステファン・マレーによるもので、モードの撮影とは違った気品のあるナチュラルメイクで写真との相性も抜群です。カツラを取ったアガシもスキンヘッドですっきり。


  • ミハイル・バリシニコフ&アニー・リーボビッツ 
なんともビックリだったのが、今までこのヴィトンのコアヴァリューシリーズを撮って来た写真家アニー・リーボビッツが、有名バレエダンサー(現在は俳優やら振り付けやらいろいろ)のミハイル・バリシニコフと競演!この頃、アニーは短期貸付専門会社アートキャピタルグループから2400万ドルの借金をしていてその期限が切れるのに返済が出来ておらず、自分の撮って来た有名な、射殺される直前のジョンレノンとオノヨーコの写真をはじめとするすべての著作権や3つの自宅を取られてしまうという自体に。。。おそらく支援協力をしたいヴィトン側が本人を出演&撮影させることで、多くのギャランティーをヴィトン側から受け取った事になったと思われます。作風はコアヴァリューの中では大変地味な仕上がりとなっていて、アニーのスタジオで撮られたこのセルフポートレートは、その淋しささえもかもし出されてて、友人であるミハイルに借金の相談している状況のようにも見えてなりません。。。それにしても男勝りなアニーのポージングはミハイルの存在感さえも上回る勢いです。


  • ディエゴ・マラドーナ&ジネディーヌ・ジダン&ペレ
伝説のサッカー選手三人が楽しそうにテーブルサッカーゲームをしているところを激写な一枚。やんちゃな感じなんだけど、クラシカルなバーでのロケで写真のトーンが彩度低めなせいか、とっても大人で上品な仕上がりになっていて大好き。ジダンのお尻のあたりにさりげなく置いてあるバッグも茶系のトーンとマッチングしててさすがの一言。いつも思うのが、アニー・リーボビッツの写真ってこんなにナチュラルで自然光っぽい空間なのに、しっかりライト当てて撮っているのが心底びっくり。ライティングされた固い感じにならないのはレタッチのせいなのか、中間トーンの出し方がいつも素晴らしいです。


  • アンジェリーナ・ジョリー
もはや女優を超えてスーパー女優となり始めているアンジーがヴィトンに登場。カンボジアで撮影されたこの写真は、本人の私服で本人のヴィトンバッグを使用してのスタイリングで、本人もほぼノーメイクで挑んだ(っていっても目もとは黒で囲んでる気がする)、ポートレートとしても完成度の素晴らしく高い一枚。メイキングでこのシーンは見つからなかったので、もしかしたら背景は別撮りした写真との合成かもしれないですけど、空が反射する水面や植物の乱雑さなどもかみ合ってて、アンジーの表情とともにデラックス。ちなみにこのバックはもう生産中止のものだそうで、そんなバッグを広告に使ってまでもリアリティーを求めるヴィトンに一票。



  • U2ボノ&アリ夫婦 
ミュージシャンと言う枠を超えて、国際的な慈善家としても有名なU2のボノと奥様のアリをキャスティングしてのアフリカでのシューティング。アフリカの極度な貧困地域の人々に多大なる支援をしてきた夫婦であるからこそのロケーションです。撮影は実際歩きながら撮ったりしてセスナ?から降りてきて大地を踏みしめる夫婦を何度と繰り返し撮影。奥様のアリはファッション業界にアフリカでのビジネスの輪を広げるためにエシカル・ファッションのブランド「Edun(イードゥン)」を設立。2009年には、「Edun」のアフリカとの貿易における積極的な取り組みを推進するため、LVMHが49%の株式を取得している。今回はそのEdunの服をお召しになり、Edunとヴィトンのコラボバックを肩から背負っての登場です。


という感じで2007年から定期的にセレブをキャスティングして行われています。これからもアニーの写真でどんな素敵なコラボレーションが見れるか凄く楽しみな見逃せないキャンペーンです。

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