2012/04/22

一流スタッフでもこの有様!Photoshopでの修正ミスあれこれ。

現在多くのビジュアルがPhotoshopによる画像修正を行われています。ただ盛んに行われている顔のすり替えや、顔&ボディーバランスの修正、肌の修正などがやり過ぎてしまって、その悲惨さに気づかない写真がちらほら目に付くことも。そしてそれは何故か予算のあるだろう一流メゾンの広告や、一流フォトグラファーの写真で事故多発!トップとされる人達の仕事で修正不祥事が起きてしまうと、もうどうなっちゃっているの?誰も気づかなかったわけ?と、疑問を投げかけたい心境でいっぱいです。

ヴォーグアメリカの一年に一度の気合いの号である、2011年9月号では、目玉特集としてスーパーモデルのケイト・モス(Kate Moss)の結婚式の様子を独占取材。ケイトと仲良しカメラマンのマリオ・テスティーノ(Mario Testino)が式も同行し、スナップとファッションページ撮りおろしというメガスペシャルケイトブックなんですが、なんと裸で娘と抱き合うカットで、娘のリラの指2本が消えているという修正ミス発覚!!!!!
たぶんですけど、このカットはリラちゃんは右手を降ろしていたはずなんだけど、写真のバランス的に腕が入っていたほうが良かったので、別のカットから腕が上がっている写真のものを切り抜いて肘のあたりで繋ぎあわせている感じ。その際にケイトの背中部分のアウトラインを出すために、リラちゃんの合成用素材の指の部分までマスクをかけてしまったと思われます。良い写真なだけに、凄くもったいないですね。。。ケイトのお顔の修正は、結婚式の主役ってのもあり、許せる範囲内で綺麗。


 こちらはヴォーグロシアでのファッションページで、マルーン5のボーカルのアダム・レヴィーンと、彼女でモデルのアン・Vが1994年のアヴェドン&ベルサーチの広告のようなポージングで頑張っています。ですが!アダムのお腹が極細になってて上半身の逞しさからはあり得ないウェストに目が点!これもアンの右足を軸に、左側と右側のアダムの写真が違うものを使っている事を意味していて、お腹の設置する部分がどうにも結合してなくて女子より細い勢い!初歩中の初歩レベルなので、これはどうにかしていただきたい〜。せっかくアン・Vちゃんもお尻出したっていうのに、凄い脱ぎ損!!!



グゥイネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)が表紙のヴォーグアメリカ2010年8月号。この写真はうっかりしていると特に異変は無いように感じますが、普通この腰の向きに座った場合、右足はこの高さまで上がらないのが人間レベル。どう考えても10センチくらい右ももが長い人間に描かれています。こちなみにSeptember Issueというヴォーグの編集長アナ・ウィンターを追っかける映画を見たところによると、かなり表紙は顔を入れ替えたり、腕を入れ替えたり、口を入れ替えたりするそうで(笑)この表紙に関しても構図などの見た目やバランスにこだわるあまりに、人間としてのバランスを失ってしまったように思われます。ちなみにカメラマンはマリオ・テスティーノ様です。


2010年春夏のバーバリーキャンペーンは、女優のエマ・ワトソン(Emma Watson)を起用してマリオ・テスティーノ(Mario Testino)が撮影。この写真はニュースにもなっていましたが、エマの右足のひざから下が無いように見えます。もしかしたら男の子の左足にすっぽり隠れているのかも?とも思えますが、ちょっと不自然感が否めない感じ。逆に撮影した状態がこの状態であるならば、むしろ別のカットからエマのふくらはぎあたりを合成して、ちらっと膝下を感じるビジュアルを作った方がよいかと思われます。マリオ・テスティーノの専属レタッチャー(修正屋さん)、不祥事連発で別の人にした方が良い気がします。


 こちらはエンポリオ・アルマーニ(Emporio Armani)の香水『ダイアモンド』で歌手ビヨンセ(Beyonce)がイメージモデルを務める広告ビジュアルですが、本来こういう風に手と商品のカットを合成する予定のない体に合成しているもんだから、絶対的にあり得ない肩から腕のオカしい人間像が出来てしまっています。無理矢理合成するにも程があると言うか、ビヨンセ側もちゃんと確認するべき酷い広告。同じ写真を使って他のレイアウトで良いのはあったので、なんでこのビジュアルを作ったのが疑問って感じです。



 ドルガバ(Dolce&Gabbana)のコスメラインでは、合成と言うよりかは肌修正のやり過ぎで、本来あるべき影を消し過ぎてしまっていることで、鎖骨から肩にかけてのつながり感がもの凄く不自然に見えている一枚。基本的に化粧品や香水のビジュアルって夢と希望を与えるものなので、イメージ重視で修正も多めに入って不思議ではないのですが、やはり人間の構造からはみ出すような骨格に見えてしまうのは失敗と言われても仕方ない気が致します。ぱっと見は凄く綺麗でドラマティックなので、鎖骨の影と首のシワの消し過ぎを復活させて頂きたい。


スティーブン・マイゼル(Steven Meisel)が撮影した2010年秋冬ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の広告では、メイクルームを再現して鏡がいっぱいの建て込み。肌のレタッチは軽めで、一流ブランドにしては好感が持てる質感で好きなんですけど、あろうことに右側に座っているクリスティー・ターリントン(Christy Turlington)のポージングと、向かって左後ろの鏡の中のクリスティーのポーズが違っている大惨事!鏡の中では、もっと前にかがみ込んでいて、右腕をひざの上で曲げている写真になっているので、右側に写っているクリスティーは、別写真と入れ替えが行われてて、鏡の中の合成を誰も気づかなかった危険な例。


これも同じ時期のルイ・ヴィトンの広告なんだけど、こちらは真ん中のナタリア・ヴィディアノヴァ(Natalia Vodianova)のポージングと、右端の鏡の中のナタリアのポージングが違ったものが使われている事!たぶんこれもクリスティーを入れ替えた事で、クリスティーの後ろにくっ付いていた鏡の部分も別写真のまま使用してしまったという入れ替えミス。鏡ってこういう時に、凄く面倒なアイティムって感じ。せっかくクリスティーが極上のスマイルでこっちを見てくれているのに、レタッチャーの意識が追いついていなく、そして天下のマイゼル様さえもこれに気がつかなかったというショッキングな事件。トップ中のトップメゾンでこういうミスがあるって、逆にちょっと安心はするけど。。。



ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)の香水『ライトブルー』の広告では、女性モデルのアナ・ヤゴジンスカ(Anna Jagodzinska)の左足の付け根がどうやらおかしいようで、向かって右側(モデルの左腰)のビキニの紐の見え方がなんとも不思議。左足だけ入れ替えたのでしょうか?(ここまで股広げなくても・・・。)こちらも例外なくカメラマンはマリオ・テスティーノ巨匠でございます。



 最後はヴァニティー・フェア誌に掲載された、映画監督サム・メンデス(Sam Mendes)と女優のケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)の素敵なポートレート。カメラマンはどんな女優や俳優、ミュージシャンまで黙らせる力を持ってる、アニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)。一見、雰囲気良くって写真のトーンもシアンがかって落ち着いた感じで好きなんですけど、なんとサムが!サムがシャツしか着ていないはずなのに!ケイトの肩に回した腕にはしっかりとジャケットが写っています!!!一瞬、着替える途中?とか思ってみたんだけど、そんなはずは絶対にないとおもうので、合成のはず。おそらくジャケットを有無で撮影してて、腕を肩に回したカットのほうがバランスがよかったので腕を合成してみたものの、コーディネートの違いまで見ていなかったという落とし穴。アニー・リーボヴィッツは自然に見えてもかなり合成を施すので有名ですが、これは珍しく粗が出てしまった一枚です。でも合成ミスだったとしても、写真が猛烈に美しくて、ポートレートといったらアニー!と名前があがる理由が痛い程わかる気がしました。


自分でも撮影した写真をこのように合成したり、肌修正したり、顔や体のバランスを整えたりするんだけど、人間の骨格として成り立っているのかってのが大きな基準になっているように感じました。肌の修正は企画や雰囲気によって濃度を使い分けていて、それはそれでやり過ぎも良いと思っているんだけど、骨格だけは人間であって欲しいと改めて思いました。

2 件のコメント:

  1. 今回の内容、興味深く拝見させて頂きました。広告写真って
    イメージを優先するあまり不自然さが際立ち
    ちょっとした心霊写真みたいな怖さというか不自然さが
    ありますね。

    そういう意味ではテリー・リチャードソンや
    ユルゲン・テラーみたいなスナップショット風な広告は
    ラフだけど自然体で好感持てますね。

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    1. タカオカさん
      本当に修正し過ぎでマネキンぽかったり、骨格がおかしかったり怖いのもありますよね。テリー系の写真は、修正してしまったら良さがなくなっちゃうので、粗があってもそのままが良いですよね。

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